2020年12月26日に開催された、「学ぶ」「創る」「稼ぐ」をビジョンに掲げるプロジェクト型スクールNewsPicks NewSchoolの「コンテンツ・アントレプレナー・フェス」の中で、弊社代表柯牧霖(カ ムーリン)が登壇。シマラヤジャパン株式会社CEO安陽氏とpopIn株式会社代表取締役程涛氏を招き「越境アントレプレナー’s TALK〜先駆者に学べ! 国境を越えたビジネス戦略」をテーマとしたセッションを開催しました。
ここでは、その内容を一部紹介します。
■急拡大する音声コンテンツ市場でビジネスを展開する「Himalaya」
テキスト、動画、SNSなどコンテンツの形態が日々変化するなか、今成長著しいのがマーケットの一つが音声コンテンツ。
「Himalaya」は、オーディオブック、ラジオ、ポッドキャストなど様々な音声コンテンツを1つのアプリで楽しめる中国発の総合音声プラットフォームで、日本市場向けにも50万以上のオリジナルコンテンツを取り揃えている。
シマラヤジャパンの安氏によると、日中間の音声コンテンツ市場の違いは、中国ではアプリを使って日常的に音声を聞く習慣が定着しているが、日本ではまだ土壌ができていないことにあるという。
現在は、音声コンテンツを文化として日本に定着させ、市場自体を拡大させることを最優先に、同業他社とも競争するのではなく、協力も視野に取り組んでいる。
なお、2020年に入りコロナ禍でリモートワークや在宅ワークが進み、デジタル・オンライン市場は急速に拡大し、音声コンテンツ市場もその恩恵を受けている。なかでも一番伸びているのが個人クリエイターによるコンテンツ供給量で、その数は前年比で4倍強となっている。人々のライフスタイルの変化に伴い、音声コンテンツを聞くシーンや楽しみ方が変化するなか、利用者側のニーズに沿ったコンテンツ提供や、利用しやすい環境を整えることが重要として、現在整備を進めている。
■同じコンテンツを家族で共有し、豊かな時間の過ごし方を提案するpopInアラジン
popIn株式会社が開発したpopInアラジンは、壁を画面にコンテンツが投影できるプロジェクターつきシーリングライだ。
人々が日常的に触れるコンテンツの形態が変化するにしたがって、コンテンツを見るデバイス側のアップデートも必要という考えの元で開発した商品で、同じコンテンツを家族皆で共有し豊かな時間を過ごしてほしいという想いから生まれたもの。最大の特徴は、単なる家電ではなく、価値ある時間の過ごし方やライフスタイルを提案していることだ。
popIn株式会社程氏に、家電のIoT化が進むなか、家電が担う役割がどう変化するのかについて伺ったところ、生活者の目線に立ったときに、プロダクトがどのような価値を提供できるのか、具体的にイメージし、ストーリーで見せて訴求することが大切という。
PCやノートパソコンやスマホなどコンテンツを提供するデバイスの進化に伴い、かつては『家族が集まって同じ時間を楽しむ』役割として圧倒的な存在感のあったTVの役割が薄まっている。そんななか「popInアラジン」は、かつてのTVのような役割を担う存在として、人々の時間の過ごし方と共に訴求する商品だ。
■音声コンテンツにおける日本ならではの強みと、世界展開の可能性
中国で生まれ育ち、日本で事業を展開する両氏ならではの強みは、日中の違いを客観的に見た上で、日本にはまだ存在しないサービスを、マーケットのニーズに沿う形で展開していることだ。
中国と日本両方のマーケットを客観的に捉えた上で、日本のニーズに沿った形で事業展開を進めるのが、両氏の強みだ。
日本ならではの魅力の一つを伺ったところ、Himalayaジャパンの安氏は「声優文化」を挙げた。漫画やアニメは世界中から注目を集めており、世界中で人気のコンテンツだが、そこには「声」を生業にする声優が職業としても文化としても根付いている。
音声コンテンツの世界展開の課題の一つに、言語の壁が挙げられるが、最近は音声認識や翻訳機能も進化しており、リアルタイムで精度の高い翻訳の実現も近い将来見えている。そうなれば、声優を活用した音声コンテンツの世界展開は可能性がある分野と見ている。
また、現在取り組んでいることの一つに、音声広告も挙げた。今後さらに音声コンテンツ市場が拡大すれば、プラットフォームとしては、日常生活に即した最適な音声広告をどのようにして届けていくかも重要となる。その実現に向けても、現在進めているという。
■利用者目線の生活シーンに沿った提案ができるかどうかがカギに
コンテンツを届ける家電やデバイスの日本の市場の現状について、popInの程氏に伺ったところ、日本ではまだスペックを訴求する傾向があり、生活者目線での価値の提案という面で課題があるという。
あらゆる家電製品が画面を持ち、IoT化が進めば、プロダクト自体がメディアとしてコンテンツを発信できるようになる。そうなると、人々の日常の生活シーンに沿った最適なコンテンツを提供できるかが、重要になるという。
文字、動画、音声…コンテンツが多様化する中で、いかにして利用者の目線に立って、最適なデバイスを用いてコンテンツを提供できるかが、ますます重要になると言えそうだ。
【トークセッションに関する過去記事】
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